北原モコットゥナㇱさん

北海道大学アイヌ・先住民研究センター 教授

所属する大学の職員研修としてトレーニングを実施していただきました。残念ながら大学の中でもジェンダー平等や民族平等が達成されているとは言い難く、特に民族平等については、基礎的な啓発さえ緒につき始めた段階です。様々なハラスメントが起きても、驚いて何もできずに過ごしてしまった経験が何度もありましたし、自分自身が様々なマイノリティに関して失言をしてしまったことも多々あります。当日は、パワハラなどに加えレイシャル・ハラスメント(民族性に基づくハラスメント)を実感するシナリオも用意していただき、私も含め、多くの参加者にとって新鮮な経験ができました。また、センシティブな話題を扱いながら、打ち合わせを細やかにしていただいたおかげで、細部まで配慮が行き届いたトレーニングとなったことは嬉しいことでした。 マジョリティ性を強く持つ参加者からも「誰もが当事者意識を持って考えられる」という感想が寄せられました。私は、声を挙げにくい人が「自分にもできる」対処法を考える機会として貴重だと感じています。人に何かを伝えることが仕事になっている大学教員の属性故か、ハラスメントへの対処法として直接的な介入を選択する受講者がほとんどでした。それが難しい人も多く、教員もいざとなると何も言えないことが多いように思いますが、「どのように介入・説得するか」という論理の部分を丁寧に共有することもまた良い経験だと感じました。