日本社会では経済成長が鈍化し、少なからぬ国民が貧困層になり、自然災害も頻発し、政治は迷走したまま行き場のない社会へと変わりつつある。経済成長による幸せという幻想を保てなくなった今、本当の豊かな生き方(Well-Being)とは何かを考えさせる教育が求められている。大学教育の現場の片隅で学生たちの声を聞いていると、日常生活や人間関係におこるトラブルに過剰なほどの防衛・回避反応(その典型が「知らぬふり」)をとり、そうしたことしかできない自分自身にさらに苦しんでいることがわかってきた。この研修を受講して、この学びこそ、苦しみの最中にある学生らの心を癒し、前へ進む勇気を与えてくれるものだと確信した。人間関係に敏感になり、社会との接点が多くなる高校生から大学生ぐらいの世代においてこの研修を体験する機会が多くなれば、日本はWell-Beingな社会へと歩み出せるようになるに違いない。

聞間 理さん
九州産業大学商学部 教授